6月


 

わさび田の 光ちりぢり 木の葉影 (秋至) 

さみだれて 雨音高き 一日かな

滴りの ひかりきれぎれ 宙に浮く

滴りて 一滴ごとに 山冷ゆる

古リつつも 小貝生かして 忘れ潮

いさぎよく しづく落して 白菖蒲

なすの葉の 紺を沈めし 夕気配

一夜酒 にも酔ふ父の 古写真

夜釣の灯 しまひし闇の 冷てきし

ネクタイへ 妻の手古りて 薄暑光