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Just Jpan 2001 10月号
  ≡ インディーズ芸人列伝Vol,4 『ズームエレファント』 ≡    
中村 壮快 

 ここで、インディーズ芸人を紹して早くも4回目になる。
 僕の知り合いも何人かここに訪れ、そして読み、感想を言ってくれたりする人も居る。ありがたいかぎり。
 今回紹介するズームエレファントもその読者の中の1組なのだ。たまに感想をメールで送ってくれる。では、そのズームエレファントを紹介していきたい。

 ズームエレファントはトリオ編成。ボケの実井たけお、小口弘一郎、そして突っ込みの中田仁で構成される。
 昔から、芸人になりたいと志願する人達の殆んどはコンビを希望するのが定説になっているが、その中でも僕のようにピンで活動したり、トリオを組んだりするのも少数ではあるが存在する。
 ピンやトリオというもの、多く見かけるように思う人も居るかも知れないが、コンビの数に比べたら圧倒的に少ないのだ。
 そんな中、コンビネーションが一番難しいとされるトリオを3年前に結成。ライブやテレビで少しづつ活動範囲を広げている。

 面白いのがこの3人、どこへ行くのも一緒。遊ぶのも一緒。とにかく仲がいい。コンビやトリオにとっては珍しいパターンである。普通は仕事が終わったら別行動というのが当たり前なのだが、『中学生の仲良しグループか!』 と思わせるほどに仕事の後も仲がいい。普段三人で何を話しているのかは知らないが、たまにケンカもしている。しかし、ケンカしてもすぐ仲直りする辺り、『付き合い始めのカップルか!』と罵ってしまうほど、コンビやトリオには珍しい仲良し芸人なのだ。

 芸人にとって仲がいいのは良い事なのか悪い事なのかはよく議論されるテーマではあるのだが、ズームエレファントにとっては良い方向に向いているようだ。
 ネタは主にコント。普通人の中田が珍奇な二人に翻弄されるネタが中心。ありがちな設定に、どちらかと言えばステロタイプなネタを繰り広げるのだが、ネタ以前に3人の仲の良さが滲み出る舞台に女の子のファンはかなりの数になる。僕はファンレターを貰うこの3人につまらない感情『ジェラシー』を何度抱いた事か。そのジェラシーを3人にぶつけると返ってくる答えが『たまたまですよ〜』という、もてない芸人が反感を買いそうな答え。しかし、以外にも反感が湧かない。何故か笑っていられる。『うむ。こいつらなら仕方ない』という不本意な納得をしてしまうのだ。分かりやすい言葉で言うと『可愛げがある』のだろう。

 可愛げのある3人。仲の良い3人。こういうものは現在、若い人達の間では無くなってきている風潮がある。人間的な可愛さ、友情といったもの、自分達には無い何かを彼らの舞台に求め、そして自分に投影して前進する為の1つの材料にしているのかも知れない。

 そういった『素晴らしい感動』を客に与えているかも知れないが、一方で彼らの私生活は『素晴らしくない感動』も与えてくれる。
 エピソードを紹介したい。

 酒癖の悪い中田の話。酔っぱらってしまった中田。居酒屋を出て皆と別れたとこまでは覚えてるらしい。そして気が付けば異臭がする。今までの人生で嗅いだ事のない匂いらしい。目を開ける。焦点が少しづつ合ってくる。目の前に見知らぬおじさんが居る。周りを見渡す。ダンボール。そのおじさんが中田に言う。『おかゆ食うか?』中田は咄嗟に『はい』と言ってしまったらしい。で、二日酔いと眠さの中おかゆを食べ、その場を後にしたらしい。・・・・・・ホームレスのおじさんの家で寝ていたらしかった。そのおじさんもよく受け入れてくれたものだ。以外にも清々しかったらしい。中田は酒を飲みながらそう言っていた。芸人の話、何処までホントか分からないが。

 ホモっぽい小口の話。好きな女の子が出来た小口。告白したら見事振られた。で、もう一回告白。見事玉砕。そしてその告白を半年かけて19回同じ女の子にしたらしい。今はめでたくその女の子、小口の彼女らしい。というか彼女になっている。小口も小口なら女も女だという甘酸っぱく、そしてあほ過ぎるエピソード。

 そういった類の暴露話の数々を最初に実井から聞くのだが、実井自身の話はあまり聞かない。
 この実井が一番破天荒な印象を受けるのだが、一番まともな男なのかも知れない。とにかくよく分からない3人だが、何故か憎めない3人でもある。

 そういった経験を生かしてかどうかは知らないが去年『今宮戎新人漫才コンクール』の子供大賞を受賞し、NHK『オンエア−バトル』や読売テレビ『笑いの超新星』にも出演。大阪で数少ないトリオの期待を背負い前進していたが、数ヶ月前、拠点を東京に移した。
 東京に行ってから連絡は途絶えたが、たまにメールが届く。
 『元気ですか?』と一言。僕もメールを返す。『そっちこそ元気か?』と。それ以上のやり取りは無いが、とにかく可愛げのある奴らである。
 今も3人仲良くやっているのだろうか?近況は全く知らない。だが、この文章を読んでくれているに違いない。切に願う。
 ひょっとしたらこの『インディーズ芸人列伝』で紹介している場合ではないかも知れないな。
 『メジャー芸人予備軍列伝』というタイトルが彼らにはぴったりかも知れない。
 メジャーな芸人になっても3人仲良くやっていてくれたら、僕もファンも『こいつらいつまでも可愛げのある奴らやな』と思えるだろう。
 ズームエレファント!見た目は名前に負けているが、可能性は名前に勝っている。
 そして結果も名前に勝っている事を何年かしたら確認出来る筈だろう。
 『ズームエレファント』というトリオ名の意味はよく分からないが・・・・・・

END

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